LIB7 お祭りの意外と知らないコト

第17回 祭りの進行手順(神道の祭り編)


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どんな業界にも「中の人は当然知ってるが、普通の人は知らない」ことがあります。

お祭りの世界にも、そんなトリビアがきっといっぱいあるはず。
このコーナーでは「お祭りの意外と知らないコト」を紹介していきたいと思います。

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第17回は、「祭りの進行手順」です。

今回は、日本で多く行われている神道形式の祭りについて紹介します。
神社が行う一般的なお祭りには、どんな行事がどのような順番で行われるか、というパターンがあります。

神式の祭りは、大まかに言えば、

・きよめ
・みゆき
・きそい
・わざおぎ
・おくり

の順番に行われます。
(「きそい」と「わざおぎ」が省略されたり、逆になることもあります)

まず「きよめ」。
漢字で書けば「清め」で、祭りに従事する人が禊ぎで体を清めたり、祭り会場を掃除やお祓いなどで「お清め」する行為です。
神事で重要なのは「神様がおられる場所を清浄なものにする」ことなので、祭りの前準備となる重要な行為です。
なかには「木古内佐女川の寒中禊」のように、お清めそのものが主役になっている祭りもあります。

「みゆき」は、漢字で書けば「御幸」になるでしょうか。
お清めした神聖な場所(一般的に神社境内)に神様をお迎えし、神輿・山車・屋台などにお乗りいただき、氏子地区一帯にお招き、御旅所とよばれる場所まで移動する行事です。
こうした行事は一般的に「神幸祭」と呼ばれます。また、神社から町中へむけて神輿などが出発する行事を、「宮出し」と呼ぶこともあります。

「きそい」は、漢字にすると「競い」で、神様の前で力や早さや技術を競い、吉凶を占うとともに、能力の向上結果を神様に見ていただくという意味合いもあるようです。
具体例としては、相撲、綱引き、くらべ馬(競馬)などがあります。こうした神事が、のちにスポーツになった例もあります。

「わざおぎ」は、漢字にすると「俳優」。
神がかった人が踊ったり舞ったりすることで、その代表例は「神楽」です。
石見神楽や高千穂の神楽など、これが主役となっている祭りといえます。
祭りのなかで行われる農村歌舞伎や子供歌舞伎も「わざおぎ」の部類に入ると考えられます。

「おくり」は、「送り」。
「みゆき」で迎えた神様をお送りする、つまりお帰りいただくということで、代表例は「還幸祭」です。一般的に神幸祭とは逆ルートで、御旅所から町を巡って神社まで戻り、もとの山や森や木へと帰る神様をお送りするというのが、還幸祭です。
「宮出し」の反対、御旅所から町中をめぐって神輿や山車などが神社へ戻ってくる行事を「宮入り」と呼びます。

仏式の祭りや町おこしイベントなどの場合は当てはまらないことが多いですが、神社形式の祭りの場合、これらを頭に入れてから祭りの行事次第(プログラム)を見ると、祭りの意味合いや流れを理解しやすくするだけでなく、祭り見物の予定をたてるときや、撮影の計画を考えるときにも大いに役立つでしょう。

●参考文献:
『心が躍る花火と夏祭りの撮り方』p120〜123



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